多民族の国イギリス
『ベーオウルフ』の紹介で有名な忍足 欣四郎先生が昨年3月に亡くなられて、その追悼論集である『「ベーオウルフ」とその周辺―忍足欣四郎先生追悼論文集』を手にする機会がありました。
これを編纂されたのが唐澤 一友さん。
この方の著書を読んだことがなかったのですが同じ春風社から出ている『多民族の国イギリス―4つの切り口から英国史を知る』が面白そうだったので読みました。
イギリスと言えばWASP(White Anglo-Saxon Protestant)の国。そこからの移民がアメリカ大陸へ渡り建国し、アメリカも多民族国家だけれど、長い間国家の中枢を担う人々はWASP。実際にアメリカに留学していた時は東部では有色人種というだけで冷ややかな眼差しを私も身をもって経験しました。
WASPの国、イギリス…でも、例えばアーサー王伝説はイギリスのものなのに、どうしてフランス人が書いて有名になったのか・・・、「ベーオウルフ」のように北欧起源のものなのにどうして古英叙事詩なのか・・・。
UK(United Kingdom)~連合王国という名は一体どこから来たのか・・・。ケルトの文化が何故今ではアイルランド特有のものになったか・・・。
英文学に親しんだ方なら、一度は漠然とでも疑問に思われたことがあるかも知れません。教科書的な歴史ではなかなか回答に辿り着けない経験が私にもありました。
今でこそ、読書のお陰で朧気ながら「こうなんだろうな~」と高校時代の資料を片手に予測したことが脳内で少しずつピースが嵌っていますが。
この本には手っ取り早くイギリスの歴史の「どうして?」の回答を得られます(笑
読んでいて「あ~やっぱり!」「そうだったのか!」と感嘆符ばかり。
目次
1)イギリスを形成する4つの国
2)ユニオン・ジャックの成り立ち
3)王家の紋章
4)英語はアングロ・サクソン語か?
5)それでもなぜ「アングロ・サクソンの国」なのか?
写真や図版も多く、地図もきちんと掲載されていますし、文章も平易で理解しやすい。
私が英文学の教員ならテクストを始める前に、この本を輪読して時代と民族の移動、統治者の変遷の地図を思い描けるようにしてから始めたいな(笑

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