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T.H.ホワイト Terence Hanbury White

Terence Hanbury White 1906年5月29日–17 January 1964年1月17日
英国の小説家。
父はインドのボンベイの警察署長であったが、アルコール依存症、母は冷淡な人であり、14歳の時に別居。
チェルテナムカレッジやケンブリッジのクイーンズカレッジで学んだが、この時作家のL.J.ポッツに指導された。ポッツはホワイトにとって生涯を通じての友人であり、文通相手であり、後に彼は 「人生において文学に関する最も大きな影響を受けた」と言っている。
クイーンズカレッジ在学中トマス・マロリーの「アーサー王の死」についての論文を書き、首席で卒業している。

永遠の王 |

 永遠の王

The Once and Future King (1958)
contributor
Leon

永遠の王―アーサーの書〈上〉 (創元推理文庫)

永遠の王―アーサーの書〈下〉 (創元推理文庫)

Once and Future King
中世ロマンスの代表とも言えるアーサー王と円卓の騎士の物語は「アーサー王の死」をマロリーが著して以来、現在に至まで広く読み継がれています。
今日でさえ多くの作家達がアーサー王伝説を主題として作品を著しつづけていることからも、アーサー王伝説の舞台や登場人物達が魅力ある存在だということが想像できるのではないでしょうか。

T.H.ホワイトは寡作ですが、その少ない著作の主題にアーサー王物語を選びました。
あらすじ的にはよく知られているものと大差ないのですが、「永遠の王」の特徴はアーサーの少年時代にあります。
少年時代のアーサー(ウォート)を将来の王たる人物にするため、度々魔術師マーリンが訪れては様々な教育・感化を行うのですが、マーリンの人物像とその教育方法が実にユニーク。
後半は大人になったアーサーの様子を読むことになりますが、「あぁ、あの時のマーリンの感化がアーサーの中に生きている!」と改めて感じることができます。

何時の時代にも「平和」を口にしながら戦争を行うのが人間ですが、著者は、少年アーサーに自然界の動物達の暮らしを垣間見させることによって、この永遠の矛盾をアーサーと読者に突きつけてきます。
疑問を持ちながらもアーサーは戦い続け、マーリンの支援を失ってからは実の息子と最後の決戦に挑むのですが、その心情を実に細やかに描いており、更に最後の一文が感動を締めくくります。

実はこの作品、2つの映画になっています。 一つはディズニーアニメで「王様の剣」と題され、アーサーの少年時代から、石に刺 さった剣を引き抜き王に即位するまでを描きます。
アニメの特徴を上手に活かして、原作の味わいを出しているのですが「永遠の王」の面白さは前半と後半の繋がりの部分にこそあるので、完成度はそれほど高いとは言えません。
もう一つは「キャメロット」と題されたミュージカル映画。
こちらは少年時代から最後の戦いまでを描いていますが、SFX技術以前の作品であり、マーリンがアーサーを変身させる場面などは流石に再現できず、逆に良く出来て いる後半との関連性が薄まってしまっています。
毛色がかなり異なる2つの映画ですが、両方を併せて観ることが出来るならば「永遠の王」の雰囲気がかなり楽しめるでしょう。