
- 高橋康也・高橋宣也 訳
- 新書館
- 発行: 1994/04
- ISBN: 4-403-11008-8
- 四六判 / 203 p
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北欧神話とニーベンルンゲンの叙事詩を混成させワーグナーが作り上げた世界。
舞台脚本なのでおそろしく簡単に読める。
巻頭に関係図が載っているので、ワーグナー独自の設定が一目瞭然。
1巻目はライン川底に眠る黄金を守る妖精3姉妹に言い寄る小人アルベリヒが妖精の愛を手に入れられず、腹いせに黄金を強奪。その黄金を基に権力と世界を支配出来る「一つの指輪」を地下で弟ミーメに作らせる。
時を同じくして神族の世界では、若さと美の女神フリッカをめぐり巨人族のファーゾルト兄弟がヴォータン(ワルハラの神)と対立。ファーゾルトらはフリッカを返す取引にラインの黄金を要求する。
ヴォータンはローゲ(火の神)らと地上に下り、アルベリヒを捕獲、全ての黄金と「指環」を手に入れる。しかし、アルベリヒは指環を奪われるその時、最後の呪いをかけた。
その呪いとは「所有者に死をもたらし、不安に魂を蝕まれ、満たされぬ欲望を抱え、指環の奴隷となる。そして持たぬ者は欲心に身を灼かれ我がものしようと欲する」というものだった。
ヴォータンは巨人族ファーゾルトに黄金の全てを与えるが「指環」だけは放そうとしない。その時、上位の神ヴァーラの女神エルダが現れ、指環を遠ざけることを忠告する。ヴォータンは不承不承手放すが、手に入れた巨人族の兄弟は、その場で宝を巡り、殺し合う。

かって寺山修司訳で出版されたことがあるが、寺山の半創作となっているのだそうだ。
新版を発行する際、「原作に忠実」であることを旨として高橋康也親子あるいは夫婦訳が全4巻を翻訳している。
確かに原文に忠実に訳されたのかもしれないが、単刀直入に言えば、原書が読みたいという気になる。
脚本は大方台詞が命。その台詞の訳が些か憤りすら感じてしまうほど。神族・小人族・巨人族といくつかの種族が登場するが、どの種族の台詞か区別がつかないくらい野卑である。傲慢で生々しい神であってもやはり品格は欲しいところ。
物語世界の壮大さ・想像力を力強く喚起させるでろう原作の素晴らしさへの集中力を欠かせる日本語訳の不味さでこの評価点とした。
因みに訳者あとがきは省略する方が良いかも知れない。フロイト心理学へのこじつけは苦笑。
総じて、ストーリーがどんなものであるか、何をモチーフにしているのかを理解しておくだけで充分な本だと思う。 |