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リヒャルト・ワーグナー Richard Wargner

ヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナー(Wilhelm Richard Wagner, 1813年5月22日 - 1883年2月13日)は、ドイツのライプツィヒに生まれる。父カール・ワーグナーは下級官吏であったが、フランス語に堪能であったため、当時ザクセンに駐屯していたナポレオン率いるフランス軍との通訳としてたびたび駆り出された。カールはリヒャルトの生後まもなく死に、母ヨハンナはカールと親交があったルートヴィヒ・ガイヤー(ユダヤ人・実父説もあり)と再婚した。歌劇の作で知られる19世紀のドイツの作曲家であり、また理論家、文筆家としても知られる。ロマン派歌劇の頂点として『歌劇王』の別名で知られる。 苦痛を感じ、手近にある紙に彼女は物語をつづり始める。
こうして書いた作品は偶然、オックスフォード大学出版局に渡り、その後出版局から来た手紙の誘いに応じ、『ロビンフッドの物語』を書き、1950年に処女作となった『エリザベス女王物語』と同じ年に出版。
文筆家としての本格的なキャリアを積み始めたのは、1959年からで、この年には、『ともしびをかかげて』(The Lantern Bearers)でカーネギー賞を受賞。以降、英国トップレベルの児童文学の書き手の一人とされている。
1975年には、大英帝国勲章のOBEが、1992年にはCBEが贈られている。
主な著書:『ともしびをかかげて』(The Lantern Bearers)、『アーサー王と円卓の騎士」』(The Sword and the Circle) などケルト神話やギリシア神話を元にしたもの、ケルトの民族やイングランド地方の話などが多い。

ニーベルングの指環
ラインの黄金 | ワルキューレ | ジークフリート | 神々の黄昏 |

 ラインの黄金 ―「ニーベルングの指環」1部

Das Rheingold : Ring of Nibelung
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Ring of the Nibelung (Paper)
story

北欧神話とニーベンルンゲンの叙事詩を混成させワーグナーが作り上げた世界。
 舞台脚本なのでおそろしく簡単に読める。
 巻頭に関係図が載っているので、ワーグナー独自の設定が一目瞭然。

 1巻目はライン川底に眠る黄金を守る妖精3姉妹に言い寄る小人アルベリヒが妖精の愛を手に入れられず、腹いせに黄金を強奪。その黄金を基に権力と世界を支配出来る「一つの指輪」を地下で弟ミーメに作らせる。

 時を同じくして神族の世界では、若さと美の女神フリッカをめぐり巨人族のファーゾルト兄弟がヴォータン(ワルハラの神)と対立。ファーゾルトらはフリッカを返す取引にラインの黄金を要求する。
 ヴォータンはローゲ(火の神)らと地上に下り、アルベリヒを捕獲、全ての黄金と「指環」を手に入れる。しかし、アルベリヒは指環を奪われるその時、最後の呪いをかけた。
 その呪いとは「所有者に死をもたらし、不安に魂を蝕まれ、満たされぬ欲望を抱え、指環の奴隷となる。そして持たぬ者は欲心に身を灼かれ我がものしようと欲する」というものだった。

 ヴォータンは巨人族ファーゾルトに黄金の全てを与えるが「指環」だけは放そうとしない。その時、上位の神ヴァーラの女神エルダが現れ、指環を遠ざけることを忠告する。ヴォータンは不承不承手放すが、手に入れた巨人族の兄弟は、その場で宝を巡り、殺し合う。


review 修司訳で出版されたことがあるが、寺山の半創作となっているのだそうだ。
 新版を発行する際、「原作に忠実」であることを旨として高橋康也親子あるいは夫婦訳が全4巻を翻訳している。
 確かに原文に忠実に訳されたのかもしれないが、単刀直入に言えば、原書が読みたいという気になる。
 脚本は大方台詞が命。その台詞の訳が些か憤りすら感じてしまうほど。神族・小人族・巨人族といくつかの種族が登場するが、どの種族の台詞か区別がつかないくらい野卑である。傲慢で生々しい神であってもやはり品格は欲しいところ。
 物語世界の壮大さ・想像力を力強く喚起させるでろう原作の素晴らしさへの集中力を欠かせる日本語訳の不味さでこの評価点とした。

 因みに訳者あとがきは省略する方が良いかも知れない。フロイト心理学へのこじつけは苦笑。
 総じて、ストーリーがどんなものであるか、何をモチーフにしているのかを理解しておくだけで充分な本だと思う。
  • 高橋康也・高橋宣也 訳
  • 新書館
  • 発行: 1994/04
  • ISBN: 4-403-11008-8
  • 四六判 / 203 pv

 ワルキューレ ―「ニーベルングの指環」2部

Die Walkure : Ring of Nibelung
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Ring of the Nibelung (Paper)
story

若い人妻は敵に追われ、傷ついた若者を手当てして匿う。二人は自分たちが余りに似ていることを認めあい、惹かれ合う。帰宅した夫フンディングは二人の間の親密さを感じ不快を露わにするが、そればかりでなく、この男は夫の身内を殺めて逃走した犯人判る。
 この「間男ジークムント」は主神ヴォータンが人間に化身し、人間の女ヴェルフィンに生ませた双子の兄妹の兄であり、その妹ジークリンデはあろうことか、この屋敷の妻であった。

 婚姻の司であるフリッカは夫ヴォータンの隠し子を知り、その子がまた更に不貞と忌まわしい近親相姦を犯した犯罪人。明日のフンディングとの決闘は決してジークフリートを勝たせてはならないとヴォータンに詰め寄る。ヴォータンは最愛の精神的双生児である娘ブリュンヒルデを呼び苦悩を打ち明ける。悩み抜いた末にジークムントの剣を折る命を下す。

 ワルキューレの長姉ブリュンヒルデ(ワルキューレは戦場で討れた英雄をワルハラの地へ送るという役割を持っている)は父ヴォータンの命を受け、戦地へ赴が、ジークムントの犠牲的愛情に同情し、ジークリンデの胎内には兄の子供(後のジークフリートになるという設定)が宿っていることを見抜き、父の命に背く。ブリュンヒルデがその盾でジークムントを庇うその瞬間、ヴォータンが現れその槍の一撃でジークムントは絶命する。しかし、ブリュンヒルデは妹ジークリンデを逃がすことに成功する。主神ヴォータンは命に背いた娘のブリュンヒルデから神としての恩寵も全て剥奪し、一介の人間と同様の立場へ勘当する。


review 2作目は指環の4部作の中で最も人気があり、単独でも上映されたりするらしい。
 少々ギリシャ悲劇「アイスキュロス」を見ているような錯覚に陥る。
 極めて古典的なモチーフだが、ニーベンゲンの英雄が神の子に仕立て上げられ、次の世を継承していく姿や、中世の戦士たちが夢見たワルハラの地やワルキューレの息づかいが想像出来るのが楽しい。それにしても神話の男神ってどうしてこうも下半身が奔放…。
  • 高橋康也・高橋迪 訳
  • 新書館
  • 発行: 1996/10
  • ISBN: 4-403-11002-9
  • 四六判 / 189p

 ジークフリート ―「ニーベルングの指環」3部

Siegfried : Ring of Nibelung
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ジークフリート

Ring of the Nibelung (Paper)
story前作「ワルキューレ」でジークリンデが身籠もり、ブリュンヒルデによって命名されたジークフリートは「指環」を作った小人族の鍛冶屋ミーメに育てられていた。
 ミーメの養育の狙いは、かつて巨人族のファーフナーが竜に化身し、指環と共にニーベルングの宝を抱え込んでいるのだが、そのファーフナーを殺させ、指環をせしめることだった。
 ジークフリートは実の父親の形見である折れた剣を自ら鍛え直し、名剣ノートゥングを手に竜退治に行く。竜の血を浴びたジークフリートは声無き声を知る所となり、ミーメの奸計を見破る。
 ジークフリートの道を塞ぎに「さすらい人」の姿で現れるヴォータンは、相変わらず自己矛盾を絶つことが出来ず、元は彼が与えたノートゥングによって槍を切断される。遂にジークフリートは岩山の頂に到達し、眠るブリュンヒルデに会う。
review ヴォータンに代表される神族が自己矛盾のために崩壊していく。かつてはワルハラを束ねていたブリュンヒルデも父の命に背いたために人の女として岩山に眠らされ、恐れを知らない人の子(正確には神と人とのクォーター)ジークフリートによって目覚めさせられ、新たな力を獲得していく。人間以上に人間らしい神々の姿が面白く、親と離反し恋に走るワルキューレ。しかもその愛する男が血が繋がって…なんて泥沼なメロドラマ仕立てか。

 そんなこんなで神々の黄昏へとつづく。
  • 高橋康也・高橋宣也 訳
  • 新書館
  • 発行: 1998/11
  • ISBN:4-403-11006-1
  • 四六判 / 227 p

 神々の黄昏 ―「ニーベルングの指環」4部

Gotterdammerrung : Ring of Nibelung
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Ring of the Nibelung (Paper)

The Ring of the Nibelung: Siegfried & Gotterdammerung
story

ブリュンヒルデへの愛と貞節の印として「指環」を渡したジークフリートは新たな旅へと出かけるが、アルベリヒの罠が行く手を阻む。
 ギービビ家に立ち寄ったジークフリートは当主グンターと異夫兄弟であったハーゲン(実はアルベリヒの子)によって「忘れ薬」を飲まされ、ブリュンヒルデとの記憶を喪失する。更にあろうことか、グンターとブリュンヒルデの婚姻に一肌脱ぐことに。
ジークフリートの裏切りに苦悩し、復讐を誓うブリュンヒルデ。
指環を手に入れるためにハーゲンは遂に…。


reviewこのスクリプトが題材とした『ニーベルンゲンの歌』ではジークフリートがグンテルのため一肌脱(ぎすぎたらしい)いだ相手、ブリュンヒルデとはもともと愛し合っていた関係ではなかった。ラインの黄金もハーゲンの奸計によって投棄されたジークフリートの財宝であった。その他にも人物相関はかなり変更されている。
 原典ではあっさり描かれている「ウェルスンガ・サガ」などを濃厚に盛り込み、神々の存在や人の激情を盛り込んで壮大で、よりドラマティックに物語を編み出そうとするワーグナーのイマジネーションは伝わるが(舞台上では音楽・舞台演出が融合し圧巻なのではあろうけれども)、スクリプトだけを読む限りでは短絡的で粗野な印象を感じる。

 美味しいのは、この物語が生み出した小人族の「指環のアルベリヒ」の存在、その指環を作った職人にしてアルベリヒの弟ミーメの存在、そして作り出された「一つの指環」を巡り神々を巻き込んでの闘争の始まりとその終焉にまつわるエピソード。トールキンファンにとってはちょっとニヤリとしてしまう。
  • 高橋康也・高橋宣也 訳
  • 新書館
  • 発行: 1976
  • ISBN: 4-403-11007-X
  • 四六判 / 197 p