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ウォルター・スコット Sir. Walter Scott

1771年8月14日 - 1832年9月21日。英スコットランドエディンバラ生まれ。詩人、作家。
生後18ヶ月で小児麻痺を患い、その療養のために祖父の農場に預けらる。そこで年長者たちから聞かされたその地方の伝説や伝承の民謡などに大いに興味を持つようになり、これが文学者としてのスコットの母胎となる。
エディンバラ大学で法学を学び、父の跡を継いで弁護士となるが、25歳より文筆活動を始める。代表作として『ロブ・ロイ』、『アイヴァンホー』、『湖の麗人』など。
ウォルター・スコットの肖像はスコットランド銀行発行のすべての紙幣に使用されている。

湖の麗人

The Lady of the Lake (1810) 

STORY

 狩猟に自信のあるジェイムズ・フィッツ=ジェイムズだったが、現れた大鹿はいくら追いかけても捕まらない。仲間とはぐれ、愛馬を乗り潰し、猟犬2頭を連れ、カトリン湖のほとりに辿り着く。そこで水の妖精と見紛うばかりの無垢で美しい娘エレンに出会う。
道を見失った騎士にエレンは一夜の宿を提供する。
突然の客の訪問を不吉に思う家人であったが、前日「高貴なものの来訪」を予言されていたため、質素ながらも心を込めたもてなしをする。
ジェイムズ・フィッツ=ジェイムズは一目でエレンに好意を寄せるが、エレンには一族の花と謳われるマルコム・グレアムという騎士の恋人がいた。更に追放の憂き目に遭う父・ダグラス卿を匿うロデリックからも思いを寄せられていた。
ジェイムズ・フィッツ=ジェイムズはエレンの事を忘れられず、再びカトリン湖へ向かう。だが訳ありな様子のエレンにスコットランド王直々の指輪を与え、何かの折にはこれを頼るよう言い残す。

その頃、ロデリックの偵察が天幕を張る敵の存在を見つける。一夜で陣内に入り込めるほどの距離にいることを告げらロデリックは戦の準備にかかる。
伝令は「火焔の十字架」を持ち村々をひた走る。

だが、その敵とは…。

スコットランド王に追放の恥辱を飲み込み単身嘆願に行くエレンの父ジェイムス・ダグラス卿、そして竪琴弾きのアランと共にジェイムズ・フィッツ=ジェイムズの厚意の指輪を填め、父と一族の解放に危険を顧みず赴くエレン、叶わぬ恋を秘め敵陣に先頭をきる頭目ロデリック…。
それぞれの正義と徳を美しいハイランドの情景とともに綴られていく。


REVIEW

 いくつかの出版社で発行されているが(湖上の美人とのタイトルが有名)岩波のものは1936年の初版から一度も改定していないのかも知れない。文語・旧字体で始めは読みづらいが、それも次第に苦にならない程惹き込まれ、むしろ物語に気品を添えるような香しささえ感じられてくる。
スコットランド人であるスコットはその地を心から愛していたに違いなく、その風景の豊かさは非常に美しく、私はトールキンの「裂け谷」の風景を重ね合せていた。

乙女を巡る戦の物語は多数ある。勿論戦いは凄惨ではあるのだけれど、どこか清らかなのはエレンの素朴で純粋な人柄と、スコットの、騎士たちの武勇の描写に重きをおくのではなく、例えば湖水地方を命がけで走る伝令たちのそれぞれの物語や竪琴弾きとしての忠誠や、登場人物の拠って立つものが奥ゆかしく記される。そうした心の有り様に感動し、清々しさが残るのだろう。

古い世界を代表するハイランドの領主ロデリックと新しい世界を代表する騎士との闘いは、旧領主の死で幕を閉じ、それによって新しい世界へと時代は動いていくが、スコットは自分の祖先たちの姿をそこに重ね合わせて、歴史の流れの中に消えていく古い世界を愛情を込めて謳いあげているようにも思われる。

戦闘を前にするロデリックの求愛を拒否したエレンが歌う「アヴェ・マリア」、かの有名なシューベルトの歌曲「アヴェ・マリア」の原詩であることを知り、この本に会えたことに更に感動。

エリザベス女王の仇敵だった、スコットランド女王メリー・スチュアートの父親がジェームズ5世。
何故ジェームズ5世の名前がここで出したかは読んでからのお楽しみ♪

  • 湖の麗人 (岩波文庫)
  • The Lady of the Lake
  • アヴェ・マリア~聖なる調べ

入江 直祐 訳
岩波書店
発行:1936/09/05初版
ISBN: 4-00-322196-6
文庫 / 237p

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アイヴァンホー

coming soon
Ivanhoe

STORY


REVIEW

  • 上
  • 下
  • Ivanhoe (Oxford World's Classics)
  • アイバンホー [DVD]
  • ロッシーニ:歌劇「アイヴァンホー」(イタリア国際管/アリヴァベーニ)

菊池 武一 訳
岩波書店
発行:1964/01-1974/01
ISBN: 4-00-322191-5(上) 4-00-322192-3(下)
文庫 / 405p(上) 490p(下)

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