氷と炎の歌
七王国の玉座| The Game of Thrones (1996) -- Book One of A Song of Ice and Fire | |
contributorLeon![]() ![]() ![]()
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物語の舞台となる地域は、異民族の侵入や新しい宗教の流入など暗黒時代のブリテイン島を思わせる雰囲気で、七王国とは呼ばれているものの、実際は数百年前に武力統一されている。
とは言え、過去の王家の血族などは依然として貴族の大家の座を保っており、安定しない玉座は群雄割拠の時代を招こうとしている。 物語開始時点における玉座の主は、「狂王」と呼ばれたエリス・ターガリエン前王を打ち破ったロバート・パラシオン。 そのロバート王を筆頭の廷臣として補佐する役目「王の手」を担っていた人物の死から大河ドラマのような物語が進展していく。 特徴的なのは、年齢も性別も異なる7人の登場人物による7つの視点からの語られていること。 数多い登場人物の中から7人の主要人物それぞれの異なった切り口で語られるので当初は少しまごつくかも知れないが、斬新であるとともに「お気に入りの視点」を見つけるという楽しみもある。 新たな「王の手」となる北方の大貴族エダード・スタークとその不在中を守る妻ケイトリン、物語冒頭いきなり不幸な出来事に見舞われる次男ブラン、廷臣となる父に随行して王都に赴く二人の娘サンサとアリアは姉妹にも関わらず対極的な性格、エダードの私生児で腹違いの兄弟姉妹達とは微妙な関係にあるあるジョン・スノウ、ロバート王の義弟で策士のティリオン・ラニスター、「狂王」エリスの遺児デーナリス。 もちろんこれら7人の主要人物を取り巻く人々も実に多彩で、巻末に付いている家系図を頭に入れないとストーリーに集中しにくいかも知れない。 前半は王家や貴族同士の凌ぎを削る政治的な駆け引きが目立ち、欧州中世や日本の戦国時代を想起させる架空戦記風なのだが、後半では北方から七王国を脅かす謎の存在の活動が活発化したり、失われたと考えられていた血筋が復活するなど今後の伏線もたっぷり引かれており、久しぶりに続巻が楽しみなファンタジー・シリーズの幕が上がったと感じた。 本作は1997年のローカス賞を受賞しているが、その後も続刊が発表される度に受賞するという快挙を成し遂げており、その魅力は多くの読者によって既に折り紙付きだ。 |