

- 関口 幸男 訳
- 早川書房
- 発行 : 2003/06
- ISBN:
4-15-020338-5
4-15-020339-3
- 文庫 /
413p/435p
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シャーリアの魔女はかつての魔女狩りによって殲滅された種族。
主人公ブライアリーは「同族」の生き残りのただ一人かもしれない孤独の中で、村の産婆や治療師をしながら魔女である身を隠して生きている。
彼女の周りにいる者たちは、心優しく真面目な人柄と彼女の仕事の腕に全幅の信頼を寄せているが図らずも「魔女であること」が諸国の政争の道具とされる。
過去の魔女狩りの歴史の再現に脅かされながらも、ひたむきに自らと「種族」の存続を求め続ける彼女を擁護する若き領主メルファラン。
ブライアリーに心惹かれる懊悩を抱えながら、悪しき伝統、偏狭な定義と闘う。

シャーリアの魔女といっても作中には魔法らしい魔法は出てこない。
魔物や権力に魔法で対抗するような魔女もいない。
偏狭な慣習や伝統の中で特殊な能力が権力によって利用される姿が語られている。
登場人物の性格設定が非常に細やかで、脇役に対しても丁寧な描写で好感が持てる。
ロマンス部分の表現はハーレクインばりの陳腐さとリアルさで、赤面する箇所も多いがメルファランのブライアリーに対する描写は女性でなければ書けない視点。つまり女子がグッとくる機微がてんこ盛り。
マーセラスは人を海や山、川といった自然特性になぞって語る場面を多用しているが
ブライアリーを通して持ち得る能力(力)如何ではなく、心根の質によって「種族」を定義するには有効な描写かと思えた。
やや訳語に難があるものの、全体の透明感、清々しさは損なわれていない。
因みに『不倫は良くないわ!ぷんぷん』というとりつく島の無い方は読まれない方が…(笑) |