


- 荒俣 宏 訳
- 筑摩書房
- ISBN : 4-480-02564-2
- 発行年月 : 1991.9
- サイズ : 文庫 / 241p
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謎の女流作家フィオナ・マクラウド。しかし、彼女の本名は…
(島の)ケルトと一口に言っても、文化や言語の違う民族がいくつか存在します。(ピクト民族はケルト以前の先住民らしく、ルーツは諸説あり、ケルト民族とは呼びません)
先ずウェールズ地方のキムリック、そして北方に住むゲール民族ですが、ゲールはアイルランド系とスコットランド系に分かれます。
フィオナ・マクラウドは故郷であるスコットランドケルトの民話・神話をベースに創作する作家です。
~目 次~
クレヴィンの竪琴 白熱 九番目の波
雌牛の絹毛 海の惑わし 神の裁き
ウラとウルラ 罪を喰う人 イオナより

『ウェールズのケルトは余裕がある、アイルランドのケルトも楽天的だ。
しかしスコットランドのケルトだけが昏く悲しい』
これはマクラウド本人の弁。
確かにこの作品集に収められた1編1編が必ずや狂気を孕み、死へと向かう。
特にタイトルにもある「罪を喰らう人」などは救いがまるで無い。
善きものが悪しきもののスケープ・ゴートにされた挙句、呪いによって狂い果てる。
貧困な大地に雪が降り、老人は明日動けなくかも知れない不安を抱きつつ、ケルプ(海草)灰を作り、ピート(泥炭)を集める。
英雄たちでさえ、恋する女と引き裂かれ、狂おしいばかりの歌を歌い、勲とは程遠い死を迎える。
まるで、死のみが幸福の場所であるかのようだ。
沈鬱でもの哀しく、そして昏い。
けれど、どうしようもなく惹かれる不思議が存在する。
現世の苦難にうちひしがられながらも、転生を信じ、妖精の声に耳を傾けるケルトの人々の真実生を希求してやまない心が波になり、風になって物語の中に埋め込まれているからなのかも知れない。
元気の良い時にお読み下さいませ。取り込まれます(笑) |