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ポール・ギャリコ Paul Gallico

1897年7月26日 - 1976年7月15日。米ニューヨーク生まれ。小説家。1919年にコロンビア大学を卒業。作品の多くが映画の原作に使用され、成功を収めてきた。1941年に発表した『スノーグース』や『ポセイドン・アドベンチャー』などがある。
父親はイタリア系、母親はオーストリアからの移民。ギャリコが初めて名前を知られるようになったのは、1920年代のことで、スポーツライター、スポーツコラムニストとしてであった。
1930年代の後半、スポーツ記事を断念して、小説を書き始める。『スノーグース』は、1940年にサタデー・イブニングポストに発表され、1941年O・ヘンリー賞を短編部門で受賞。

猫語の教科書 |


猫語の教科書

The Silent Miaow: A Manual for Kittens, Strays, and Homeless Cats (1985)
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猫語の教科書

The Silent Miaow: A Manual for Kittens, Strays, and Homeless Cats
ポール・ギャリコのもとに奇妙な原稿を友人の編集者が持ち込んだ。
…朝、食事を摂っていると玄関のベルが鳴る。表に出てみると通りには人影はなく、タイプした原稿の分厚い束が玄関の靴ぶきの上に。手にとってみると、どうやらタイトル風の"£YE SUK@NT MUWOQ"というタイトルらしき文字が。
何かの暗号かも知れないと、戦時中暗号解読をしていたこともあるポール・ギャリコの所に持ち込んだという訳である。

ギャリコも最初は困惑し、仕事も立て込んでいたので放置していた。しかし、数ヵ月後再び手に取るとすらすらと読み解くことが出来た。
…それは「猫の猫による猫のための」本であった。

タイトルだけで猫語が学べると思ったら大間違い。これは「猫の、猫による、猫のための教科書」。
賢い猫が若くて世間を知らない猫に生きる術を伝えるために書いた(?)もの。
どうやったら餌をもらえて、その家を乗っ取れるか、自分が人間にとってどんな風に見えて、どうすれば懐柔できるか等々。
多分、猫を飼ったことがある人なら誰でも思い当たる節があり、猫好きにはちょっぴり苦笑いしなくちゃならない箇所もある。
快適な食生活や住環境のためであって、「私」でなくてもいいんだろう…と思わせる、何だか片思い的で切ない感じを経験したこともあるだろうけど、あぁ、やっぱりそうだったか…なんて妙にに入り込んで納得したり(笑)
判っちゃいるけど好きなんだからどうしようもない。

半年ほど前に私の友人が1Rのアパートで猫を買っていた。生まれた時から飼い猫なのに流石に狭い部屋の1室だけに閉じ込められていたためかストレスからオカシナ行動をとるようになった。
彼女は引越しを決意。
登ったり飛び上がったりできる猫の木も買った。
猫本来の気質を考えると自由に好きな場所へ行き来できる環境で住まわせる方がよいんだなと。
やっぱり高層で高セキュリティのマンションのような所での猫との共生は難しいんだろうな…としみじみ。
とこう考えてしまう私も猫に懐柔されている証拠なんだ。

写真家スザンヌ・サースさんのところの猫、ツィツァの写真と共に愉しい仕上がりにあっている。
巻末にはやはり猫好きの大島弓子さんの漫画によるあとがきがある。
  • 灰島 かり 訳
  • 筑摩書房
  • 発行:1998/12
  • ISBN : 4-48-003440-4
  • 文庫 / 206 p