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ダイアナ・ウィン・ジョーンズ Daiana Wynne Jones

1934年- 英ロンドン生まれ。
三人姉妹の長女として生まれる。子供時代 両親の方針で普通の本を買ってもらえなかったため、ギリシア神話や英文学の古典などを読んで育つ。またウェールズの祖父の家に預けられたり、湖水地方で疎開生活を送った経験などが物語作りに役立っていたと後年述懐。
オックスフォード大学セントアンズ校に入学後はJ.R.R.トールキン教授に師事する。
大学卒業と同時に結婚し、三人の息子に児童文学を読み聞かせている内に、自らも作品を書き始めた。

主な著書
・いたずらロバート
・魔女集会通り26番地
・わたしが幽霊だった時
・九年目の魔法
・魔法使いハウルと火の悪魔
・アブダラと空飛ぶ絨毯
・魔法使いはだれだ
・ダークホルムの闇の君 など他多数

参考サイト
http://www.dianawynnejones.com/dwjflash.htm
http://www.leemac.freeserve.co.uk/index.htm

ダークホルムの闇の君 | 花の魔法、白のドラゴン | 九年目の魔法 |
大魔法使いクレストマンシー
魔法使いはだれだ | クリストファーと魔法の旅 | 魔女と暮らせば | トニーノの歌う魔法 | 魔法使いはだれだ | 魔法がいっぱい(外伝) |
デイルマーク王国史
詩人(うたびと)たちの旅 | 時の彼方の王冠 | 呪文の織り手 |
ハウルの動く城
魔法使いハウルと火の悪魔 | アブダラと空飛ぶ絨毯 |


 クリストファーの魔法の旅 ―「大魔法使いクレストマンシー」

The Lives of Christopher Chant

クレストマンシーシリーズの2作目。

母親は社交界に夢中、父親は何の事業家でとにかく多忙。顔もろくに見たことがない。一人自室で根付かない家庭教師と退屈な毎日を過ごしているクリストファーだが、
夢の中で「あいだんとこ」を通り抜け、「どこかな世界」に行くことが出来た。
「どこかな世界」で会う人や人ではないもの(笑)に会うことが彼の日常の中で唯一愉しいことだったのだ。
夢の中で縦横無尽にここでは無い世界に行ける甥の技を知ったラルフ伯父さんは
クリストファーにある実験を手伝わせることに。孤独だったクリストファーはリアルな世界で初めて好意を持った伯父の依頼を喜んで手伝うのだが実験の最中、何度も死んだ筈なのだが…

実はこのあいだんとこは世界の境界で、「どこかな世界」はパラレルワールド。
クリストファーは9つの命を持つ。9つの命を持つのは魔法界の監視役である大魔法使いクレストマンシーの特質なのだそうだ。
孤独に夢の中で独り遊びをしていた学童前時代、愉快な寄宿学校での生活、そこから一変、大人ばかりのクレストマンシー城へと舞台はどんどん移動するスピード感が心地よい。
何処へ行っても誰も「クリストファーのこと」なんて考えてくれない状況の中、布かれたレールを歩くことの憤りを感じつつ「どこかな世界」で出会った現人神の女神への共感、伯父の実験の手伝いを一緒にしているタクロイへの信頼感だけが精神的支柱のよう。

お金と名誉と虚栄心…そんな大人の世界に翻弄されてしまうクリストファー。伝統に縛られ身動き出来ない女神。だけれども、大人や大人の社会を悪者にしない、敵にしないのがDWJの良さ。
クレストマンシーの初の紹介がこの巻であるのは、4作中最も好みだから。
  • 田中 薫子 訳
  • 徳間書店
  • 発行: 2001
  • ISBN:

花の魔法、白のドラゴン

Elfarran

作者のお得意の平行世界のお話。
“ブレスト”という我々の世界のイギリスに似てて非なる世界、ルールとしては「魔法」がキィワード。

原題は“マリーンの陰謀”とか。
西洋世界では、モモタロー位にメジャーなキャラも日本ではまだまだの浸透と見ての邦題らしいが、ソレはちと読者層を舐めてはいないかい?と思う。
そんな中庸な気遣いがこの国のファンタジーの難しさになっているのでは・・・と思えなくもナイ。
物語は至って単純、「魔法」のサラブレッドの女の子が、「力」を手に入れて協力者の男の子と世界を救っちゃうお話。
ナニが面白いかと言うと二人の主人公の男の子と女の子は別々のルールの世界の住人。片方の世界では当たりまえな事柄もこちらの世界では、伝説だったり信じられない出来事だったり。
ファンタシー好きの読者にはこのルールは秘密ではない、けれど視点の
違う二人がそれぞれに説明をするので、目の前の普通のものもまるで魔法がかけられたかのように見えにくいパズルのピースと成り果てる。
行きつ戻りつするようなじれったさにウズウズしながら(実際キモチ悪い)読み進むとピタリピタリと当てはまり一枚の物語が完成する。
広げた風呂敷がかくも美しく畳まれると言うのはナント美しい事でありましょう。
いつもの様にイングランドの古い伝承やなんかが下敷きになっているので素地があるほうがより数倍楽しめるとは思います。しかし・・・
邦題の花の魔法白いドラゴンはそんな意味でとてもツマラナイ題名だと珍しく思ってしまいました。
作者は気に入ったらしいですが・・・。

相変わらず好き嫌いが読者に出る作家さんだと思いますが、“呪われた首飾り”よりは読みやすいのではないでしょうか?
  • 田中 薫子 訳
  • 佐竹 美保 絵
  • 徳間書店
  • 発行: 2004.8
  • ISBN : 4-19-861901-8
  • B6判 / 566p

魔法使いハウルと火の悪魔 ―ハウルの動く城1

rate-3


ハウルの動く城
帽子屋のソフィーは三人姉妹の長女。「長女は何をやっても失敗する」と信じ込んで育つ。妹たちが「運だめし」に旅立った後、一人で帽子屋を切り盛りしていたが、ある日、荒れ地の魔女がやってきてソフィーに90歳の老婆に変身させる呪いをかける。このまま家にはいられないと思ったソフィーは旅に出ることにした。途中、悪名高い魔法使い・ハウルの城に転がり込み、そこに住み込み始め…。ソフィーとハウルのちょっと奇妙な関係が始まる。

真面目で頑張り家さん、でも何となく自分に自信が持てない。巧く立ち回っている妹たちの様子を羨んではみるものの、特に妬みもせず「長女は成功しない」ことで全てを納得してしまう。我慢体質が身についてしまっているせいか、呪いをかけられてもパニックになる所か、むしろ居直りの様子。
尤も、「長女は失敗する・成功しない」このいつも言われて来た言葉も呪いの類だって言えば呪い。自分の立場や状況を素直に受容してしまう。が、そんな彼女も「なりたい自分」について思いめぐらし始める。
典型的アイデンティティー確立物語。