最後のユニコーン| The Last Unicorn | |
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![]() バクシ版「指輪物語」の脚本家の一人であったピーター・S・ビーグルの長編2作目にあたる。 孤高のユニコーンはある日、彼女が住む森に足を踏み入れた狩人らのユニコーンについての会話を耳にする。 それは、「ずっと昔にユニコーンはいなくなった」というものだった。 群れをなさずに生きるユニコーンにとって仲間の存在に対する認識はもともと希薄であったが、自分が世界で最後のユニコーンなのかも知れないという危惧に襲われ、仲間探しの旅に出る。 旅の途中で出会った一人の魔術師と無法者の女と共に、伝説の詩とに導かれながら、ハガード王が統べる暗いハグスゲイトへと向かうことに…。 ![]() 全体を流れる幻想的な空気はダンセイニの文章を彷彿とさせる。 定命の人間の運命や痛みなど気にかけることもなく生きてきたユニコーンだが、運命の力ともとれる盲目の「赤い牡牛」から逃れるために、魔術師の手によって人間の女となる。 その美しい容姿のため、人間の王の息子に求められ、徐々にユニコーンの本質を失い始めるが、後に自らを取り戻す。しかしその後も、一度知った人間の感情を抱えて不死の生涯を生きることになる。 ユニコーンという幻獣の存在を中心に、現実に生きる人間や真の魔法を求道する魔術師、社会を象徴する新しい王などの関係が織りなされているが、相容れない世界の存在、渇望しても踏み入ることの出来ない世界が存在がすることを感じさせられる。それが憧憬からであっても欲望からであっても人が望み、手を加えても、傷だけを残し、けれど依然として同化出来ない世界がある。 ユニコーンの存在を自然そのものに置き換えると、人間の欲望が残酷な結果を生むという痛烈な皮肉に思える。 |